Lesson 2-6

二次ドミナントとは?

何はともあれ、まずは二次ドミナントを実際に体感してみましょう。赤文字のコードが二次ドミナントです。


コードはほとんど同じですが、押さえ方を変えたバージョンはこちら


いかがでしょうか?ダイアトニックとは違う響きを感じられたかと思います。

このコード進行は、Key=Aなので、E-7 と A7 というコードは、ダイアトニックコードには存在しないコードです。では一体何者なのでしょうか。

それについて説明するために、Key=Dのツーファイブワンについて考えていきましょう。



Key=Dのツーファイブワンは E-7() A7() D△7()です。そして、冒頭の二次ドミナントのコード進行も、E-7() A7() D△7()です。

二次ドミナントとはつまり、Key=Aのコード進行の中に、Key=D のE-7( ) A7() D△7()というツーファイブワンの進行を強引に埋め込んでしまおう、というものなのです。

それでは、なぜ強引に埋め込んでいるにもかかわらず、そのサウンドは自然なのか?
それは、D△7 というコードに秘密があるのです。

▼Key=Aのダイアトニックコードを見てみましょう


E-7() A7()はKey=Aのダイアトニックコードに当てはまりませんが、唯一 D△7 というコードが共通している事が分かります。

つまりそれはどういう事かと言うと、Key=A のコード進行内に、Key=Dのツーファイブワンである E-7( ) A7() D△7() を埋め込むと、

E-7() A7()の部分は一瞬KeyがDになるのですが、D△7()で、またKey=A に戻ってこられる、という事なのです。

なので、トータルでそのコード進行を聞いたとき、自然だなぁと感じられるのです。

という事はつまり、D△7以外にも、他Keyのツーファイブワンの【ワン】が、Key=A のダイアトニックコードである B-7 や C♯-7 で落ち着いても良いのでは?と思うかと思いますが、はい、その通り、成立します。

それではまずは、実際に弾いてみましょう。
いかがでしょうか?少々難しい進行になってしまいましたね・・・

この進行について解説する前に一点確認です。

▼メジャーキーのダイアトニックコードは
なので、ツーファイブワンは Ⅱ-7 ⇒ Ⅴ7 ⇒ Ⅰ△7 となりますが、マイナーキーのダイアトニックコードとツーファイブワンは何になるでしょう??


▼まず、マイナーキーのダイアトニックコードはこちらです

なので、ツーファイブワンは Ⅱ-7(♭5) ⇒ Ⅴ-7 ⇒ Ⅰ-7 と、思われるかと思います。

もちろんそれでも間違い無いのですが、普通、マイナーキーのツーファイブワンと言ったら、Ⅱ-7(♭5) ⇒ Ⅴ7 ⇒ Ⅰ-7 が、一般的ではないかなと思います。

『でも Ⅴ7 はダイアトニックコードじゃないのに、なんで?』

と、思うのではないかなと察しますが、、、、とりあえず、2種類のツーファイブワンを弾き比べてみましょう


▼まず、Key=A- の、Ⅱ-7(♭5) ⇒ Ⅴ-7 ⇒ Ⅰ-7 です

▼次に、同じくKey=A- の、Ⅱ-7(♭5) ⇒ Ⅴ7 ⇒ Ⅰ-7 です

いかがでしょうか?

後者のⅡ-7(♭5) ⇒ Ⅴ7 ⇒ Ⅰ-7 の方が、A-7で落ち着いた時の終止感が強いなと感じられたかと思います。

だからと言っちゃあ何ですが、終止感が強いⅡ-7(♭5) ⇒ Ⅴ7 ⇒ Ⅰ-7 の方が、一般的にマイナーキーのツーファイブワンと言われるかと思います。

※もうちょっとマシな説明があるかと思いますが、いまいち言葉が出てこないので、とりあえずこの話はここまでにしておきます。。。ごめんよ。。


▼という事で、先ほどのコード進行をもう一度見てみましょう
この進行を順番に解説していきたいと思います。

まず、D♯-7(♭5) ⇒ G♯7 ⇒ C♯-7 ですが、これは、Key=C♯- の、ツーファイブワンです。

そして、C♯-7 は、Key=A のダイアトニックコード(Ⅲ-7)でもあるので、一瞬KeyがC♯- になるものの、C♯-7 の所で、またKey=A に帰ってくる、のようなイメージになります。


次に、E-7 ⇒ A7 ⇒ D△7 、これは、Key=Dのツーファイブワンです。

E-7 ⇒ A7 の部分は、一瞬Key=D になるものの、D△7 で、またKey=A に帰ってきます。

次にG♯-7(♭5) ⇒ C♯7 ⇒ F♯-7、これはKey=F♯- の、ツーファイブワンです。

G♯-7(♭5) ⇒ C♯7 の部分は、一瞬Key=F♯ になるものの、F♯-7 で、またKey=A に帰ってきます。



という具合で2次ドミナントを探していくと、全部で何パターンあるのか、

その答えは、ダイアトニックコードは全部で7つあるので、以下のように2次ドミナントは6パターンあります。

※①は、Key=A のツーファイブワンなので、2次ドミナントとは言いません




▼『度』で表記すると、以下のようになります




という事で、2次ドミナントは全部で6つ、と、思ったら大間違いです。

2度 ⇒ 5度 ⇒ 1度 の、ツーファイブワンのうち、2度を省略、という事が可能なのです。

それでは実際に弾いてみましょう

Key=C の時、A-7 は Ⅵ-7 ですので、上の表にもある通り、2次ドミナントは Ⅶ-7(♭5) ⇒ Ⅲ7 ⇒ Ⅵ-7

これをKey = C で換算すると、
B-7(♭5) ⇒ E7 ⇒ A-7

なので、上記の進行は Ⅶ-7(♭5) である B-7(♭5) を省略した進行という事です。

いかがでしょうか?何の違和感も無く、自然だなぁと感じられたかと思います。

この調子で、2次ドミナント、2度省略のコード進行を、いくつか弾いてみましょう。


▼Ⅲ-7(♭5) ⇒ Ⅵ7 ⇒ Ⅱ-7 の、Ⅲ-7(♭5)を省略した2次ドミナント進行
▼Ⅴ-7 ⇒ Ⅰ7 ⇒ Ⅳ△7 の、Ⅴ-7を省略した2次ドミナント進行
※次章で説明しますが、F-7 は『サブドミナントマイナー』というものです
いかがでしょうか?自然なサウンドだと感じられたかと思います。

では、ツーファイブワンの、ファイブのコードは省略可能なのか?はい、可能なんですね。

1度(ワン)のコードで感じる終止感が薄くなって、フンワリとした印象になります。では実際に弾いてみましょう。


▼ 通常の2次ドミナントの場合、G-7(Ⅱ) ⇒ C7(Ⅴ) F(Ⅰ) となりますが、今回はこのC7(Ⅴ)を省略しました
このように、2次ドミナントでは以下の表のように、Ⅱ(ツー) ⇒ Ⅴ(ファイブ) ⇒ Ⅰ(ワン)の、Ⅱ もしくは Ⅴを省略する事ができます。







いかがでしょうか?ダイアトニックコードという、たった7コードしか無かった世界から、一気に自由な大空へ飛びたてたような感じになりませんか?

次章では、もうひとつのノンダイアトニックコード、『サブドミナントマイナー』について詳しく説明していきます。
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